パラレルのお祭り応援作品その2『いつでもどこにいても』(あ/し/な/が/お/じ/さ/ん設定でトッキュー!!)の5回目です。
話の主要舞台がトッキューなので、私一人の自己判断にて、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
話の主要舞台がトッキューなので、私一人の自己判断にて、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
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「…なんでオレを、援助しよう思たんです?」
「財産を築いたのは曾祖父だ。会社経営に興味があるならまだしも、そうではないのに財産にだけぶら下がるのは嫌だった。
だから保/大に入ったんだが、父の代理で行った先で、お前の話を聞いた。
オレとほとんど変わらない年で、他にやりたいことがあるなら、選ばせてやりたいと思った。偽善と言われればそれまでだが。
お前の後から毎年、黒岩さんの推薦で進学希望者には援助を行っている」
「手紙書かせるだけで?」
「いや、お前以外は父が見ているから詳しくは知らない。お前だけは、オレの方が様子を見てやれるだろうと任せられた。お前が…」
真田がぱっと笑った。
「…保/大を選んでくれたから。
嬉しかった。縁があるんだなと思った」
…はにかむように柔らかい笑顔を見せられて、嶋本の体温が急速に上昇する。
「オレ、ホンマに好き放題書いてたと思うんですけど…」
正直かなり恥ずかしい。
あれを目の前の真田が全部読んだのかと考えると、羞恥で身悶えしそうだ。
「なんでそれで、好きなんて言えるんですか…」
「お前は一度も嘘を書かなかった。相手に会うこともなければ、読まれているかさえわからないのに、いつも真剣に手紙を書いてくれた。
正直、憧れた」
憧れ、て…真田が?
「有が死んだ時も。お前の手紙に支えられた。
…オレの方がよほどお前に助けられている―――今回も」
途端に、頭が冷えた。
あの時の絶望と苦鳴が瞬時に蘇り。
嶋本は思わず、呻くように言葉を洩らす。
「…置いて行くな、なんて、置いて行こうとしたんは隊長やないですか…」
声と同様に、色を失い固まった嶋本の手を、真田がゆっくりと揉みほぐす。
「同じことは二度としない。お前に二度、同じ決断はさせない。絶対に」
己の体温を分け与えるように、手を繰り返しさすられて。
伝わってくる温もりが、どんな言葉より雄弁な、真田の生存の証だ。
その事実は嶋本の心身に浸透して、深海の温度から嶋本を引き戻した。
「…あったかい」
目を閉じて、手から伝わる温度に意識を集中する。
この数日、張りつめたままだった嶋本の気配がゆるむのを感じとったように、真田が口を開いた。
「返事をくれ、嶋本」
―――このまま抱きしめていいか?
真田の通訳と呼ばれ、言葉がなくとも大概のことは読み取ることが出来る嶋本だ。
だから今の真田の本気も、引く気がないこともわかる。
そんな相手に、十代からの裏も表も知られているのだ。
…もう降参するしかない、けれど。
「や、です」
ささやかな抵抗くらい、させてもらう。
真田の手の間から自分の手を取り戻し、自分の意思で目の前の長身に両腕をのばす。
「…オレから抱きしめたいから」
一瞬の間を置いて、息が苦しいほどに強く抱きしめ返された。
いつでもどこにいても。
この腕の記憶があれば大丈夫だと思った。
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続きは次回…
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パラレルのお祭り応援作品その2『いつでもどこにいても』の4回目です。
話の主要舞台がトッキューなので、私一人の自己判断にて、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
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結局。
嶋本が固まっているところへ、坂崎が顔を出し。
呪縛がとけたように、手を引いて嶋本は真田から遠ざかった。
そして朝、強引に退院してきた真田に、フ/ァ/ル/コ/ンの中で言い放つ。
「もう一度同じ事が起こっても…やはり自分は救助に行かないと思います!!」
「嶋本」
「はい」
「それでいい」
これで、真田との間に線を引いた。
―――はずだった。
※※※ ※※※ ※※※
真田が一般常識からはいろいろ規格外なのはわかっている。
何せ、19才で一つ年が違うだけの男のあ/し/な/が/お/じ/さ/んになるくらいだ。
常識外れにもほどがある。
しかも、当直前の約束(話は全部、当直の後にお願いします)を果たすつもりらしい。
「隊長、今日はさっさと帰って休んで下さい!」
「嶋本との約束が気になって休めない」
「そんなんいつでも…」
言いかけて、二度と話など出来ないところだったのだと気づく。
「あ…」
言葉を失った嶋本を見下ろして、真田が言った。
「病院に行くほどではないが、疲れた気がするので、嶋本が一緒にいてくれたら安心する」
「や、やったら高嶺とか…」
「隊長のご指名は嶋でしょう。何かあれば私を呼ぶより病院に行かれる方がおすすめしますが、呼んで下さっても結構ですよ」
にっこりと微笑んだ同僚に言い渡されて、嶋本は覚悟を決めた。
「わかった…隊長の面倒はオレが見る」
「がんばってね」
真田をふりあおぎ、
「…しんどいとか、何かあったらすぐ言うて下さいね」
「ああ」
真田が頷くのを確認した。
疑問はいろいろ脳内に渦巻いているが。
とりあえず真田の家に同行し、食事と風呂の準備をしていると。
「お前の洗濯物も一緒に洗うぞ」
「はい!あ、隊長、先に風呂入って下さい。その間に飯できますから」
「ありがとう」
「…いえ」
交代で風呂をすませると、真田が食卓で待っていた。
「先にどうぞ、て言うたのに」
「オレの面倒を見る為に来てくれた嶋を差し置いてか?」
「面倒、言うんは言葉のあやで…」
口ごもった嶋本は、席に着くと、軽く頭を下げた。
「…お待たせしました」
真田が満足げに頷く。
「いただきます」
あたりさわりのないことを話しながら、二人で皿を空にしていく。
片付けも自分がすると嶋本は言ったが、真田が二人ですれば早いと主張し、結局その通りにした。
洗い物を担当した嶋本が最後にシンクを洗う横で、真田が皿を拭いている。
「こういうものだと思うんだが」
「何がです?」
「家族だ。どういうものかわからないと、書いていただろう」
(そうくるか…!)
「相手の具合が悪いと思ったら、心配して世話をやいてくれる。必要な家事は分担する」
皿を拭き終えた真田は、水に濡れたままの嶋本の手をシンクから取り上げた。指の一本ずつを丹念に拭い、己の手で包む。
「この手が冷たい時は、オレが温めたい。
お前がどんな風に生きてきたか知っている。お前はオレの障害になんかならないよ。
だからオレを置いて行かないでくれ」
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続きは次回…
パラレルのお祭り応援作品その2『いつでもどこにいても』の3回目です。
話の主要舞台がトッキューなので、私一人の自己判断にて、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
話の主要舞台がトッキューなので、私一人の自己判断にて、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
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当直勤務の朝。
出張から帰って以来―――つまり、嶋本を混乱させた告白以後―――初顔合わせとなる直属の上司は、見るからに物問いたげだったが。
「話は全部、当直の後にお願いします」
プライベートにかまけて出来る職務ではない。
互いに了承して、勤務についたはずだった。
そうして出動した佐/世/保/湾/内・西/海/橋で。
バディが遭難した。
出張から帰って以来―――つまり、嶋本を混乱させた告白以後―――初顔合わせとなる直属の上司は、見るからに物問いたげだったが。
「話は全部、当直の後にお願いします」
プライベートにかまけて出来る職務ではない。
互いに了承して、勤務についたはずだった。
そうして出動した佐/世/保/湾/内・西/海/橋で。
バディが遭難した。
※※※ ※※※ ※※※
なんで今なんや。
なんでオレやねん。
(あの人を見殺しにする役が)
かつて伊藤の死を聞いた時、思った。
―――何故あの二人に、そんな運命が。
同じことを今思う。
何故。
なぜ。
ナゼ。
興奮した若い潜/水/士に淡々と説明しながら、真田を呑み込んだままの海を見つめる。
綺麗なまま思い出にして離れることも忘れることも許さない―――神とか、運命とか。普段はあまり考えもしない、人には太刀打ちできない大きなものに、そう宣告されたような気がする。
真田を失ったら。真田が伊藤を右目に刻んだように、己が身にはどんな傷跡が刻まれるのだろう。
深い方がいい。目立つ方がいい。いっそ息の根を止めてくれたら。
そう思って見つめる先。
神林の無謀な行動からほどなく。
海面が凪いだ。
―――今しかない。
即断し指示を飛ばすと、高嶺と共に潜る。
神林と真田を救助して海上に浮上する。
目を開けた真田に、ただ涙した。
※※※ ※※※ ※※※
お前らとまたレスキューやれるんだな、と真田は言ったが。
トッキューを去る嶋本に、その機会はもうないだろう。
真田を見捨てた事実は烙/印のように嶋本の心に残る。
真田を救ったのは神林で守ったのは伊藤で、そして坂崎が言うように、真田にはまだ救うべき人達がいるのだろう。
事後処理に各所との連絡と、身体を動かし続けたのは、考えたくなかったからだ。
最後、見かねた高嶺に追い立てられるように、真田のいる病室に赴いた。
生命の危険はない、と説明を受けた後、静かに病室の扉を開ける。
室内に滑りこんで、薄闇に目が慣れるのを待った。
真田は眠っているようだった。足音を忍ばせ、ベッド脇の椅子に腰を下ろす。
奇跡の生還を果たした者と、消えぬ罪業を負った者と。ほんの数十センチの合間には、目に見えない深い裂け目がある。
(隊長)
(先輩)
(真田さん)
心の中で呼んだ時、手を掴まれた。
裂け目を越えて、真田の手がのびていた。
「…起こしましたか」
「いや」
「具合はどうです?」
「何ともない」
「そうですか」
「お前こそ」
「はい?」
「大丈夫か?」
「もちろん。オレはこれっぽっちも重/油を吸うたりしてませんし」
死にかけたくせに他人の心配をする男に、思わず笑った。
不思議な感じだった。
嶋本が助けなかった、たぶんこの世で一番大切な人間と、話をしている。
それともここは水底なのだろうか。
…そんな現実離れした浮遊感を吹き飛ばしたのは真田だった。
「トッキューを辞める気か」
「―――はい。基地長に辞職/願を提出しました」
「そのようだな。出張から戻った足で呼び出された」
「オレの個人的な理由からです。隊長とは関係ありません」
「違うな。オレの為だ」
嶋本の反論を封じるように、真田が言った。
「手紙をくれただろう」
「オレが? 隊長に? いつ?」
心底覚えがない…と言いかけて、真田が続けた言葉に凍りついた。
「18の時から毎月」
目を見開いて、茫然と真田を見つめる。
「あれがお前の本心だろう」
真田がゆっくりと身を起こした。
掴まれた手だけが、感覚を伝えてくる。
―――熱い。
やはり、自分は知らないうちに、どこか別の世界への扉をくぐったのではないか。
薄闇に閉ざされた深夜の病室で、確かなのは。
「行くな、どこにも」
手の熱と、真田の声。
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続きは次回…
感想メルフォ、ありがとうございます! がんばります…!
昨日・1月14日に、サイトのカウンターが30000HITを越えました。
ご来訪下さる皆様に、ひたすら感謝です!
相変わらず、つたない話と果てのない妄想(汗)ばかりですが、精一杯がんばりますので、もうしばらくお付き合いいただけると幸いです(礼)
ご来訪下さる皆様に、ひたすら感謝です!
相変わらず、つたない話と果てのない妄想(汗)ばかりですが、精一杯がんばりますので、もうしばらくお付き合いいただけると幸いです(礼)
パラレルのお祭り応援作品その2『いつでもどこにいても』の2回目です。
話の主要舞台がトッキューなので、私一人の自己判断にて、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
話の主要舞台がトッキューなので、私一人の自己判断にて、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
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予備校時代から始めた一ヶ月の出来事をまとめ、文字にするという行為は、自分の中を整理する役に立っている。
楽しい時もつらい時も、それはありがたかった。
たとえば。
『一目惚れした先輩が婚約しました。相手がアレかと思うとくやしい!』
衝動的に書きなぐって投函してから、思い直して、追伸を出したり。
『…しゃあないなぁ、と思うところもあります。残念やけど、今は向こうの方がいい男です。
でも、将来はオレの方がいい男になってみせます』
入学以来、勝負をふっかけ続けた上級生が卒業する時は。
『先輩が卒業します。もう二度と会えんかもしれないし、そうなったらきっとオレのことなんか忘れてしまうと思います。
だから早く一人前の潜/水/士になって、先輩が忘れてたらどついてやるつもりです』
誰にも語らない心の内を手紙に綴ることで、悲しみに区切りをつけた。
『保/大の先輩が亡くなりました。今でもあの二人に何故、という思いが拭えません。
怪我をした先輩はそれでもレスキューを続けるそうです。オレも必ずトッキューに行きます。
それが、今生きてるオレに出来る最善だからです。
いなくなった人間の替わりは誰にもできません。だからオレはどんな現場からも、絶対に生きて帰ろうと思います』
そして。
『競技会に優勝しました。トッキューに行きます』
『研修では毎日ボロボロです。
息をするんもしんどい。
でも負けません』
『保/大の先輩に会いました。
追いついて追い越してやる予定に変わりはありませんが、あの人のレスキューは見ていて不安になります。あの人なりに勝算はあるらしいけど、不必要な危険に身を晒しているように見えます。
だからオレは、オレに出来ることをやるつもりです』
『保/大の先輩とバディを組みます。
あの人の吸引力は半端ではないので引きずられる不安がないと言えば嘘になるけど、結局オレは、いつでもどんな状況でも全力を尽くすだけです』
『副/隊長になりました。バディを組んでる先輩は隊長です。
あの人との現場はキツいですが、そのたび必ず生きて帰ると決意を固めています。
あの人について行く為に社会学や心理学までかじりました。自分とバディと隊員と、要/救/助/者を守るのがオレの誇りです』
そうして、充実した日々を送っていると思っていたある日。
嶋本は衝撃的な告白を受けた。
嶋本は、一晩考え抜いた結論をいつものように手紙に記し、出勤途中で投函した。
かつてないほど嶋本をかきみだした張本人はさっさと出張に行き、次に顔を会わすのは明後日の当直だ。
もう一通、まとめた封書は出勤してすぐ、基地長に提出した。
※※※ ※※※ ※※※
『トッキューを辞めようと思います。辞職/願は提出しました。
理由はう/み/ま/る学園だと告げたら、恐ろしい結果になるでしょうか。
バディに、家族になって欲しいと言われました。
オレのバディは最高の人です。技量に優れ、人としても誠実です。オレが一般家庭に育っていたら、世間的にノーマルなラインを踏み越える不安だけを気にすればいいかもしれません。
でも、オレにはもう一つ、ルーツがわからないというハンデがあります。
あの人の身を脅かす、いかなる要因ともなりたくありません。
あの人の作りたい家族が何かさえ、オレにはわからない。
オレの存在はあの人に危険を招き、負担となる。何一つよいことはありません。
これまでいただいた多大な援助に報いることなく、最高のご恩返しが出来る職場を自ら去ることは慚/愧に堪えません。
身勝手をお許し下さいと願うのは、それこそオレの身勝手なので言いませんが、いつでもどこにいても、これからも全力を尽くすことだけはお約束します。
今後のご繁栄とご健勝をお祈りいたしております。』
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続きは次回…
はげましメルフォ、ありがとうございます! 元気がでます!!
それでは。
パラレルのお祭り応援作品その2『いつでもどこにいても』の1回目です。
私一人の自己判断ですが、サイトにアップしたその1『チェンジ』と同様、話の主要舞台がトッキューなので、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
設定:『あ/し/な/が/お/じ/さ/ん』の設定でトッキュー!!
配役:ジ/ュ/ー/デ/ィ=嶋本
リ/ペ/ッ/トさん=黒岩(いい人です!)
あ/し/な/が/お/じ/さ/ん=真田
注意:嶋本に野球経験がありません
…という前提で進めさせていただきます(礼)
「予備校?オレが?」
「そうだ。さっきお帰りになったお客がいただろう?」
園長の黒岩に言われ、さっき、窓からシルエットだけが見えた人物のことを思い出す。
迎えの車のライトが驚くほど長い影を作り出し、足長のクモを連想して思わず笑ってしまった。
「オレは保/校に行くて決まってるやん」
「それがな…」
嶋本のいる『う/み/ま/る学園』の援助者がさっき訪ねて来たので、嶋本のことを話した。
「成績はいいのに進学させてやれないと言ったら、自分が支援すると。
予備校1年間と大学の学費、その間の生活費の面倒を全部見てくれるとさ」
1年で大学に通るという自信がなければ断ればいい、と言われて、嶋本の負けず嫌いが頭をもたげる。
「オレが自信ないわけないやろ」
でも一つ不安が残る。
「見返りはなんや? オレに投資してくれるんはありがたいけど、オレ何も返せへんで」
「それは気にするなってよ。月に1回手紙を書けばそれでいいってことだ」
「…それだけ? 実はアヤシイ奴とか言わへんやろうな」
「減らず口ばかり叩きやがって!」
拳骨を落としながら、黒岩はほっとしたようだった。
嶋本が進学しないと言った時、黒岩は苦い顔をしていた。奨学金もすすめられたが、早く社会人として収入を得て自立したかったから頷かなかった。
「返事は来ないが、お前の手紙は必ず読むってよ。サボるんじゃねぇぞ」
「一度約束したことは守るぜ、オレ」
「…頑張れよ」
頭をくしゃくしゃとかき混ぜられた。
18年育ててくれた相手だ。手つきが乱暴でも、込められた愛情はわかっている。
「…おおきに」
涙声をこらえると、そう短く答えるのがやっとだった。
嶋本は一浪して保/大へ入った。
「普通大学でもいいんだぞ」
「そこまで甘えられるか。元々保/校に決まっとったし、一貫しとるやろ」
「気ぃ使いやがって」
…黒岩とそんな会話を交わして。
赴いた呉で待っていたのは、勝負三昧の日々だった。
《嶋本の手紙-保/大在学中》
『すごくムカつく奴に会いました。あんまりムカつくんで、勝負を挑んだら負けました。このままではすませません。絶対に負かしてやります』
翌月
『まだ勝てないけど、差は縮まっています。』
『潜/水/同/好/会に入りました。キツいし、上下関係はうるさいし、めんどくさいけど、楽しいです』
大した長さではなくとも、嶋本は毎月手紙を書いた。
最初に言われたように返事は一度も来なかったが、構わなかった。
よく考えると、予備校に通った1年間は『彼』の世話になったが、保/大は学費も生活費もかからない。
そもそもは援助を受ける代わりに手紙を書いていたはずだ。
だが、月に一度の手紙は既に嶋本の習慣になっていた。
どうせ返事は来ないのだ。届く手紙が邪魔なら読まないだけだろうと考え、嶋本はこのまま手紙を書き続けることに決めた。
続きは次回…
それでは。
パラレルのお祭り応援作品その2『いつでもどこにいても』の1回目です。
私一人の自己判断ですが、サイトにアップしたその1『チェンジ』と同様、話の主要舞台がトッキューなので、お祭り『参加』ではなく『応援』作品として、当サイトとブログのみの掲載にさせていただきます(深々)
設定:『あ/し/な/が/お/じ/さ/ん』の設定でトッキュー!!
配役:ジ/ュ/ー/デ/ィ=嶋本
リ/ペ/ッ/トさん=黒岩(いい人です!)
あ/し/な/が/お/じ/さ/ん=真田
注意:嶋本に野球経験がありません
…という前提で進めさせていただきます(礼)
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「予備校?オレが?」
「そうだ。さっきお帰りになったお客がいただろう?」
園長の黒岩に言われ、さっき、窓からシルエットだけが見えた人物のことを思い出す。
迎えの車のライトが驚くほど長い影を作り出し、足長のクモを連想して思わず笑ってしまった。
「オレは保/校に行くて決まってるやん」
「それがな…」
嶋本のいる『う/み/ま/る学園』の援助者がさっき訪ねて来たので、嶋本のことを話した。
「成績はいいのに進学させてやれないと言ったら、自分が支援すると。
予備校1年間と大学の学費、その間の生活費の面倒を全部見てくれるとさ」
1年で大学に通るという自信がなければ断ればいい、と言われて、嶋本の負けず嫌いが頭をもたげる。
「オレが自信ないわけないやろ」
でも一つ不安が残る。
「見返りはなんや? オレに投資してくれるんはありがたいけど、オレ何も返せへんで」
「それは気にするなってよ。月に1回手紙を書けばそれでいいってことだ」
「…それだけ? 実はアヤシイ奴とか言わへんやろうな」
「減らず口ばかり叩きやがって!」
拳骨を落としながら、黒岩はほっとしたようだった。
嶋本が進学しないと言った時、黒岩は苦い顔をしていた。奨学金もすすめられたが、早く社会人として収入を得て自立したかったから頷かなかった。
「返事は来ないが、お前の手紙は必ず読むってよ。サボるんじゃねぇぞ」
「一度約束したことは守るぜ、オレ」
「…頑張れよ」
頭をくしゃくしゃとかき混ぜられた。
18年育ててくれた相手だ。手つきが乱暴でも、込められた愛情はわかっている。
「…おおきに」
涙声をこらえると、そう短く答えるのがやっとだった。
※※※ ※※※ ※※※
嶋本は一浪して保/大へ入った。
「普通大学でもいいんだぞ」
「そこまで甘えられるか。元々保/校に決まっとったし、一貫しとるやろ」
「気ぃ使いやがって」
…黒岩とそんな会話を交わして。
赴いた呉で待っていたのは、勝負三昧の日々だった。
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《嶋本の手紙-保/大在学中》
『すごくムカつく奴に会いました。あんまりムカつくんで、勝負を挑んだら負けました。このままではすませません。絶対に負かしてやります』
翌月
『まだ勝てないけど、差は縮まっています。』
『潜/水/同/好/会に入りました。キツいし、上下関係はうるさいし、めんどくさいけど、楽しいです』
大した長さではなくとも、嶋本は毎月手紙を書いた。
最初に言われたように返事は一度も来なかったが、構わなかった。
よく考えると、予備校に通った1年間は『彼』の世話になったが、保/大は学費も生活費もかからない。
そもそもは援助を受ける代わりに手紙を書いていたはずだ。
だが、月に一度の手紙は既に嶋本の習慣になっていた。
どうせ返事は来ないのだ。届く手紙が邪魔なら読まないだけだろうと考え、嶋本はこのまま手紙を書き続けることに決めた。
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続きは次回…
パラレルのお祭りの応援作品その1をサイトにアップしました。
何で『応援』なのかというと、設定にパラレルの要素があっても、話の主要舞台がトッキューでは、『参加』には不十分じゃないか…と今更ながらに考えたからです。
そう考えると、現在の私の持ちネタ
設定1 チェンジ(嶋本がおらず、伊藤がいる世界)
設定2 いつでもどこにいても(あ/し/な/が/お/じ/さ/ん設定でトッキュー!!)
設定3 タイトル未定(近未来でロボットとマスター)
で、『参加』資格があるのはロボット物だけじゃないかと…
それ、まだ書きあがってないよ!…(がくり)
というわけで。
『チェンジ』と『いつでもどこにいても』は自サイトの方に掲載・連載することにしました。
改めて読み直すと『チェンジ』はちょっと不幸っぽい話の気もします。苦手な方はすみません(平伏)
でもおまつりを応援する気は満々なので!
ロボット物の続きをがんばります…!
何で『応援』なのかというと、設定にパラレルの要素があっても、話の主要舞台がトッキューでは、『参加』には不十分じゃないか…と今更ながらに考えたからです。
そう考えると、現在の私の持ちネタ
設定1 チェンジ(嶋本がおらず、伊藤がいる世界)
設定2 いつでもどこにいても(あ/し/な/が/お/じ/さ/ん設定でトッキュー!!)
設定3 タイトル未定(近未来でロボットとマスター)
で、『参加』資格があるのはロボット物だけじゃないかと…
それ、まだ書きあがってないよ!…(がくり)
というわけで。
『チェンジ』と『いつでもどこにいても』は自サイトの方に掲載・連載することにしました。
改めて読み直すと『チェンジ』はちょっと不幸っぽい話の気もします。苦手な方はすみません(平伏)
でもおまつりを応援する気は満々なので!
ロボット物の続きをがんばります…!
遅れてしまった成/人/の/日の突発ネタを。
義兄弟の二人です。お兄ちゃんの変/態(…)加減が増していますが、笑って見逃してください…(冷や汗)
この話だけの設定ですが。
シマの誕生日は5月/12日(海/上/保/安/の/日)
真田の誕生日は10月/9日です。
《真田・3回生、嶋本・1回生》
5月。
今日の勝負も負けた。
既に目的が彼女ではなく、勝負そのものに移行しつつあることには気付いてはいるが、さして不満や苛々はない。要は、近い将来、自分が「奴」に勝てばいいのだ。
…次は何の勝負にしようか。
そんなことを考えながら煙草を吸おうとして、ちょうど切らしていたことを思い出す。
途端に機嫌が急降下した―――つまらない。
煙草を持っている同級生から巻き上げようか。
そう思った時、視界の端に煙が見えて。
嶋本お気に入りの喫煙ポジションに、誰か来ているらしい。
手頃な相手なら、この際上級生でもいい(要するに煙草を巻き上げる対象としてだが)
遮蔽物の向こう側を覗きこんでから、嶋本は後悔した。
…そこにいたのは真田だった。
四角四面に律儀な男は、未成年が煙草を吸うなとか、成長に関わるとか、言うに決まってる。
一浪したから今日が二十歳の誕生日…などと言い立てるのも嫌で、無言で回れ右をしかけたのだが、そこに意外な声がかかった。
「吸うか?」
あの真田が。
喫煙しているという事実も驚いたが(身体に悪そうなことは遠ざけそうだ)、自分に勧めてくるということにも驚いた。
動きの止まった嶋本に、真田の方が近づく。
「ほら」
ぽかんと開いたままの口に、真田が手にしていた吸いかけの煙草を押し込んだ。
驚きのあまり、妙な呼吸になってしまった嶋本は、盛大にむせる直前、慌てて煙草を右手に避難させた。
発作のような咳がおさまった時には、手の煙草はほぼ燃え尽きていた。
内心舌打ちする間に、吸殻をひょいと真田に奪われる。
そのままさっさと携帯灰皿に突っ込むと、真田がまた新しい煙草を一本、渡してきた。
ポケットのライターを探るより早く、真田が己のライターに火を灯し差し出してくる。
思わず火をもらってしまったが、日頃の勝負三昧を思うと、ちょっと居心地が悪い気がする。しかも。
「嶋本」
見上げた真田は、火のついていない煙草を咥えていて。
「火をわけてくれ」
お前、たった今ライター持ってただろ、とは突っ込まなかった。
煙草の先どうしをあわせると、火は簡単に真田の煙草に移った。
勝負中に幾度も聞いたはずの真田の呼吸音が、耳に残る。
そのまま、何を話すわけでなく。普段のつっかかりようが嘘のように、嶋本は黙って真田の隣にいた。
…静かな時間だった。
その後。嶋本の知らない場所で。
真田が無言で大興奮(拳を握ったり、跳ねたり)していたことを、嶋本は知らない。
というか。
誰も知らなかった(知りたくもない)そんな事実を、後から知らされてしまった不幸な男が一人。
「というわけでな、有。あの時は大成功だったんだ!」
「…よかったな」
真田は、義弟の嶋本の誕生日をばっちり覚えている。
が、現在の嶋本は、かつて自分たちが兄弟であったことを覚えていない。
そんな相手に二十歳の誕生日おめでとう、などと声をかけても、不審がられるだけだ。
だから、いかに自然に嶋本の喜ぶことをしてやるか、に真田の努力は集中している。
シミュレーションの数々に付き合わされる伊藤こそ、いい迷惑なのだが。
「間接/キスまで出来たのは、予想外だった」
「…ああ、よかったな(ちょっとなげやり)」
新年早々、親友に持ちかけられた相談は『嶋本の成/人/の/日をどうやって祝うか』だったのだが、前段階としての誕生日の報告が未だに終わらない。
目を閉じてその時の光景を思い出しているのだろう真田の横で、伊藤は本日何度目かのため息を懸命にかみ殺した。
で、肝心の成/人/の/日はというと。
潜/水/同/好/会で催した該当者を祝う飲み会(酒・煙草可)にて、ちょっといい酒を注いでやることで、真田は満足したらしい。
酔いつぶれた嶋本を膝枕する真田が、さっきまで義弟の手にあったグラスを使っていることを、伊藤は見なかったことにした。
すみません、こんなおにいちゃんで…
パラレルのお祭りについては、後ほど!
義兄弟の二人です。お兄ちゃんの変/態(…)加減が増していますが、笑って見逃してください…(冷や汗)
>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡
この話だけの設定ですが。
シマの誕生日は5月/12日(海/上/保/安/の/日)
真田の誕生日は10月/9日です。
《真田・3回生、嶋本・1回生》
5月。
今日の勝負も負けた。
既に目的が彼女ではなく、勝負そのものに移行しつつあることには気付いてはいるが、さして不満や苛々はない。要は、近い将来、自分が「奴」に勝てばいいのだ。
…次は何の勝負にしようか。
そんなことを考えながら煙草を吸おうとして、ちょうど切らしていたことを思い出す。
途端に機嫌が急降下した―――つまらない。
煙草を持っている同級生から巻き上げようか。
そう思った時、視界の端に煙が見えて。
嶋本お気に入りの喫煙ポジションに、誰か来ているらしい。
手頃な相手なら、この際上級生でもいい(要するに煙草を巻き上げる対象としてだが)
遮蔽物の向こう側を覗きこんでから、嶋本は後悔した。
…そこにいたのは真田だった。
四角四面に律儀な男は、未成年が煙草を吸うなとか、成長に関わるとか、言うに決まってる。
一浪したから今日が二十歳の誕生日…などと言い立てるのも嫌で、無言で回れ右をしかけたのだが、そこに意外な声がかかった。
「吸うか?」
あの真田が。
喫煙しているという事実も驚いたが(身体に悪そうなことは遠ざけそうだ)、自分に勧めてくるということにも驚いた。
動きの止まった嶋本に、真田の方が近づく。
「ほら」
ぽかんと開いたままの口に、真田が手にしていた吸いかけの煙草を押し込んだ。
驚きのあまり、妙な呼吸になってしまった嶋本は、盛大にむせる直前、慌てて煙草を右手に避難させた。
発作のような咳がおさまった時には、手の煙草はほぼ燃え尽きていた。
内心舌打ちする間に、吸殻をひょいと真田に奪われる。
そのままさっさと携帯灰皿に突っ込むと、真田がまた新しい煙草を一本、渡してきた。
ポケットのライターを探るより早く、真田が己のライターに火を灯し差し出してくる。
思わず火をもらってしまったが、日頃の勝負三昧を思うと、ちょっと居心地が悪い気がする。しかも。
「嶋本」
見上げた真田は、火のついていない煙草を咥えていて。
「火をわけてくれ」
お前、たった今ライター持ってただろ、とは突っ込まなかった。
煙草の先どうしをあわせると、火は簡単に真田の煙草に移った。
勝負中に幾度も聞いたはずの真田の呼吸音が、耳に残る。
そのまま、何を話すわけでなく。普段のつっかかりようが嘘のように、嶋本は黙って真田の隣にいた。
…静かな時間だった。
*** *** ***
その後。嶋本の知らない場所で。
真田が無言で大興奮(拳を握ったり、跳ねたり)していたことを、嶋本は知らない。
というか。
誰も知らなかった(知りたくもない)そんな事実を、後から知らされてしまった不幸な男が一人。
「というわけでな、有。あの時は大成功だったんだ!」
「…よかったな」
真田は、義弟の嶋本の誕生日をばっちり覚えている。
が、現在の嶋本は、かつて自分たちが兄弟であったことを覚えていない。
そんな相手に二十歳の誕生日おめでとう、などと声をかけても、不審がられるだけだ。
だから、いかに自然に嶋本の喜ぶことをしてやるか、に真田の努力は集中している。
シミュレーションの数々に付き合わされる伊藤こそ、いい迷惑なのだが。
「間接/キスまで出来たのは、予想外だった」
「…ああ、よかったな(ちょっとなげやり)」
新年早々、親友に持ちかけられた相談は『嶋本の成/人/の/日をどうやって祝うか』だったのだが、前段階としての誕生日の報告が未だに終わらない。
目を閉じてその時の光景を思い出しているのだろう真田の横で、伊藤は本日何度目かのため息を懸命にかみ殺した。
*** *** ***
で、肝心の成/人/の/日はというと。
潜/水/同/好/会で催した該当者を祝う飲み会(酒・煙草可)にて、ちょっといい酒を注いでやることで、真田は満足したらしい。
酔いつぶれた嶋本を膝枕する真田が、さっきまで義弟の手にあったグラスを使っていることを、伊藤は見なかったことにした。
>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡>゜)))彡
すみません、こんなおにいちゃんで…
パラレルのお祭りについては、後ほど!